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肉の構造

肉の基礎知識

畜肉の構造

食用の畜肉は骨格筋と呼ばれ、約20%前後が筋肉タンパク質、約70%前後は水分、残りは脂質・炭水化物、ビタミン類からなります。
筋肉タンパク質は、筋原線維タンパク質、肉基質タンパク質、筋漿タンパク質に分けられます。
筋肉タンパク質の約50%が筋原線維タンパク質、約30%が筋漿タンパク質、約20%が肉基質タンパク質からなります。

筋原線維タンパク質

筋原線維タンパク質は主にアクチンとミオシンから構成されています。
これらは塩溶性のタンパク質であり、塩類の添加により溶出し保水性が向上します。
特にミオシンが肉の保水性や結着性の向上に大きく影響すると言われてます。
これは加熱によるミオシンのゲル化を介して肉の組織同士の結着性が向上し立体的な網目構造が形成され、この中に水分を保持し保水性が向上するためです。
しかしながら、死後硬直の際にミオシンはアクチンと結合し、アクトミオシンと呼ばれる硬い複合タンパク質となっています。
加工時に用いる肉は死後硬直期を経過していますので、アクトミオシンが多くを占めています。

筋漿タンパク質

筋漿タンパク質は、筋原線維間に存在する汁液部分(肉漿)に溶けた状態で存在する水溶性の球状タンパク質です。
主に、酸素運搬に関わる「ミオグロビン」や、エネルギーを生み出す生命活動に必要な酵素を含む「ミオゲン」といったタンパク質などがあります。
ミオグロビンは、ヘム(鉄ポルフィリン)とグロビン(球状のタンパク質)からなる色素タンパク質であり、肉の赤色はこのタンパク質の色に由来しています。
なお、血管内の血液中に存在する色素タンパク質は、「ヘモグロビン」といいます。
ミオゲンは筋漿タンパク質の65%を占め、主に解糖系に関わる酵素を含み、食肉においては無酸素状態の死後硬直中にグリコーゲンが解糖系で消費され、最終的に乳酸が生成されます。
畜肉を茹でた時に出てくる「アク」の原因のひとつは、この水溶性の筋漿タンパク質が流出し凝固したものです。

肉基質タンパク質

肉基質タンパク質は主にコラーゲンやエラスチンといわれるものであり、筋繊維を覆う筋内膜や筋周膜を構成する結合組織です。
コラーゲンの分子構造は、アミノ酸の長い鎖が3本らせん状に合わさった形をしています。
こちらは硬タンパク質であり基本的には不溶性ですが、ごく一部は塩可溶、酸可溶であり、また、長時間水とともに加熱すると変性し水溶性のゼラチンになります。
コラーゲンは加齢とともに分子間で架橋をし、不溶性のコラーゲン量が増えていきますので、肉は硬くなっていきます。
コラーゲン含量に差がないにも関わらず、仔牛の肉は柔らかく、老齢牛の肉が非常に硬くなるのは、この不溶性コラーゲンの割合が増えるためです。
エラスチンは、一本の鎖が架橋して集まった構造で、コラーゲンと同様に硬タンパク質ですが、ゴムのような伸縮性を有しております。
こちらは加熱しても可溶化はしない不溶性のタンパク質です。
加工時に長時間煮込む食品であればコラーゲン分子が壊れ可溶化し軟化をしますが、短時間の焼成などの加工では、コラーゲン分子が壊れる前に加熱で構造の変性と収縮によりコラーゲンの密度が増し硬化します。
コラーゲンやエラスチンは前述の通り複雑な構造をしているため、pHの調整などの処理では十分な品質改良効果が得られません。
いわゆる「すじ」があり硬く噛み切れない肉の原因は、この不溶性の肉基質タンパク質によるものと言われています。

肉のpH

肉のpHは本来pH7付近ですが、死後硬直が進むと同時に最も保水力の低い等電点付近のpH5.5にまで低下します。
これは、筋肉中に含まれる運動のエネルギー源の貯蔵体であるグリコーゲンが分解され、乳酸が生成されるためです。
このように加工時に用いる畜肉は保水性の悪い状態にあります。
実際には熟成と呼ばれる工程を経ているので、死後硬直期より軟化した畜肉を用いることになりますが、その食感品質や保水性は不十分です。
Written by Kiyoshi Nishimoto
 
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