本文へ移動

肉と酵素の関係

該当業種・ニーズ

業種

  • 畜肉加工
  • 冷凍食品
  • 惣菜
  • お弁当

ニーズ

  • 筋の固い肉を柔らかくしたい
  • 肉に酵素を使う理由を知りたい

畜肉の構造

肉基質タンパク質は主にコラーゲンやエラスチンといわれるものであり、筋繊維を覆う筋内膜や筋周膜を構成する結合組織です。
コラーゲンの分子構造は、アミノ酸の長い鎖が3本らせん状に合わさった形をしています。
こちらは硬タンパク質であり基本的には不溶性ですが、ごく一部は塩可溶、酸可溶であり、また、長時間水とともに加熱すると変性し水溶性のゼラチンになります。
コラーゲンは加齢とともに分子間で架橋をし、不溶性のコラーゲン量が増えていきますので、肉は硬くなっていきます。
コラーゲン含量に差がないにも関わらず、仔牛の肉は柔らかく、老齢牛の肉が非常に硬くなるのは、この不溶性コラーゲンの割合が増えるためです。
エラスチンは、一本の鎖が架橋して集まった構造で、コラーゲンと同様に硬タンパク質ですが、ゴムのような伸縮性を有しております。
こちらは加熱しても可溶化はしない不溶性のタンパク質です。
加工時に長時間煮込む食品であればコラーゲン分子が壊れ可溶化し軟化をしますが、短時間の焼成などの加工では、コラーゲン分子が壊れる前に加熱で構造の変性と収縮によりコラーゲンの密度が増し硬化します。
コラーゲンやエラスチンは前述の通り複雑な構造をしているため、pHの調整などの処理では十分な品質改良効果が得られません。
いわゆる「すじ」があり硬く噛み切れない肉の原因は、この不溶性の肉基質タンパク質によるものと言われています。

酵素の品質改良メカニズム

酵素とは

酵素はタンパク質からできており、Aという物質に作用してBという物質に変化させることができ、生命活動に必要な様々な反応に関係しています。
酵素反応を受けるAは基質といい、反応を受けできたBは生成物といわれます、酵素は変化せず、基質がある限り反応を続けます。
AをBにすることが出来る酵素は一つしかなく、同じ酵素でCからDにすることはできません、これを基質特異性といいます。

条件

また、酵素には反応しやすい最適(至適)なpHと温度があり、反応の速さ(酵素活性)に影響を及ぼし、酵素の種類や由来によって至適pHや至適温度はかなり異なってきます。
酵素はタンパク質から出来ていますので、極端なpHや温度の変化でタンパク質が変性し反応を起こさなくなります、これを失活といいます。

酵素の種類

肉を柔らかくする酵素としては、プロテアーゼというタンパク質分解酵素があります。
タンパク質はアミノ酸が繋がったものですが、タンパク質の分解とは、この繋がったアミノ酸を切り離していくことです。
プロテアーゼとは総称であり、その様々な種類と特徴により、切り離すアミノ酸の種類や、切り離す場所が端から作用するのかそれ以外の特定の結合に作用するのかなど異なってきます。
硬くて噛み切れない肉の原因であるコラーゲンのような複雑な構造であっても、酵素を用いることで、その構造を短く分解することができ、柔らかい食感にすることが可能です。

酵素製剤の利用

酵素には、それぞれ至適pHと至適温度があり、また作用する基質も異なりますので、その選択は難しく扱いにくさもあります。
肉に使われるプロテアーゼも多くの種類があり、その選択を誤ると筋原線維タンパク質ばかりを分解し、赤身部分が柔らかくなり肉本来の食感が失われたものとなります。
また、至適pHが酸性のプロテアーゼとアルカリ剤を併用し、酵素が作用しなかったなどの不具合も考えられます。
このように酵素単品の選択はハードルが高いですが、製剤化された原料を用いることで加工現場でも利用しやすいものとなります。
最適な酵素の選択と副材の配合により、赤身の食感は残し硬い「すじ」だけを柔らかくするような製剤などがあり、硬い肉の品質向上や使用部位が増えることによるコストダウンが可能となります。
畜肉加工に最適な酵素製剤を取り揃えておりますので、是非一度ご連絡下さい。

 
TOPへ戻る