微生物制御の基本
微生物の増え方
微生物の増え方は倍々ゲームのようなものです。
例えば大腸菌の場合、環境が整っている時、20分で2倍になります。
1日で1,000,000,000,000,000,000,000個以上に
20分で2倍なので。60分で8倍。2時間では、64倍です。さて1日ではいくらになるでしょうか?
答えは271なので、2.36×1021個です。
コップ1杯分の大腸菌になります。
もちろん理論上の話なのでここまで多くなることはありませんが、爆発的な増殖力は脅威に値します。
いつ腐りはじめるか
一般的に食品1gあたり107~108個の菌数がある場合、腐敗がはじまります。
安全をみて、賞味期限内で105~106個以下の基準を設けている事業者が多いです。
微生物制御の3原則
従来から,微生物による食中毒予防の3原則とし、「つけない」、「増やさない」,「殺菌する」がよく知られています。
①つけない
原材料の洗浄や選別で、加工の初期段階である「初発菌数」を抑えたり、加工中に誤って菌を付着させることが無いように管理します。
②増やさない
冷蔵、冷凍保存や抗菌剤で菌を増やさないように管理します。
③殺菌する
加熱や加圧、薬品などで殺菌します。
ハードル理論
ハードル理論とは加熱、冷蔵保存、pH、抗菌剤などの微生物の生育を抑制する手段をハードルとして考える理論です。
①のようにハードルが低いと微生物汚染につながってしまいます。
②のように1つのハードルを高くすることで、抑制することは可能ですが、食品によっては好ましくない味になる場合があります。
③のように各ハードルをある程度高くすることで、味を保ちつつ、微生物を抑制することができます。
《出典》
New Methods of Food Preservation/Leistner, L.